毒と文化

毒と文化の記事一覧

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マッドハッターの由来|帽子屋と水銀中毒

マッドハッターは水銀中毒の象徴として語られがちですが、話はそれほど単純ではありません。19世紀の帽子製造で硝酸第二水銀が使われ、振戦や情緒変化を伴うエレチスムが職業病として現れたのは事実で、1829、1860、1861、1865、1941という年表をつなぐと、

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シェイクスピアの毒|ハムレットとロミオの科学

ハムレットとロミオとジュリエットに出てくる毒や薬は、筋書きを動かす小道具であるだけでなく、シェイクスピアの時代感覚を映しています。 本稿では、1594年頃のロミオとジュリエットと、1599〜1601年頃に成立し1602年頃に初演された全5幕・約4000行のハムレットを対象に、

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コナン・ドイルと毒薬|ホームズの毒物学

シャーロック・ホームズに現れる毒は単なる怪奇趣味の小道具ではありません。 アーサー・コナン・ドイル(1859–1930)は、エディンバラ大学医学部(1876–1881)で得た医師としての視座と、ヴィクトリア朝末の法科学や帝国の交易路を通じて流入した異国の知識を下地に、毒を描き出しました。

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APTX4869の科学|無痕跡毒・幼児化・記憶

ロンドン編と、灰原哀の試作解毒薬が効く修学旅行編を並べて見直すと、この薬の「戻り方」は場面ごとの演出ではなく、可逆性そのものが物語の骨格に組み込まれているとわかります。

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FGOと原神の毒表現比較|状態異常と元素反応

同じ「毒」を扱っていても、Fate/Grand Orderは明示的な状態異常として数値化し、原神は元素反応やスメールの死域現象のような環境危険へ分散させています。まず押さえておきたいのは、原神にFGOのような中心的な「毒状態」がある、という理解では読みにくくなる点です。

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毒と文学の歴史|物語はなぜ毒を好むのか

文学がこれほどまでに毒を好んできたのは、目に見えないまま身体と心に入り込み、宮廷や国家の権力、さらに知の両義性まで同時に語る装置になりうるからです。ハムレットの比喩性とアガサ・クリスティの合理的な毒トリックを続けて読むと、同じ「見えなさ」が時代によって腐敗の象徴にも、

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白雪姫の毒リンゴ|象徴と毒の民俗学

白雪姫を思い浮かべると、たいていの人の頭にまず浮かぶのは赤い毒リンゴでしょう。けれども原典のKinder- und Hausmärchen第53話では、王妃の加害は腰紐、毒の櫛、毒リンゴの三段階で進み、私が青空文庫版の本文を追うと、前二回は即座に救助され、最後だけが遅れて物語の重心になることが、

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フグ料理の歴史|縄文から制度化まで

冬の会席で、透けるように皿へ引かれたてっさを前にすると、フグはただ危険な魚なのではなく、薄造りや寝かせで旨味を引き出す技術と、資格制度で危険を封じ込める仕組みの二層で成り立つ料理だとわかります。