森
森嶋 理沙
毒性学研究者・サイエンスライター
薬学部で毒性学を専攻し、製薬企業の安全性研究部門で毒性試験に従事。「毒と薬は紙一重」をモットーに、毒物の作用機序から医薬品への転換まで、分子レベルの科学をわかりやすく解説します。
森嶋 理沙の記事 (3)
毒と医学
通仙散|華岡青洲が毒で成した世界初の全身麻酔
通仙散は、江戸時代の紀州の医師・華岡青洲が、猛毒植物チョウセンアサガオを主薬に調合した内服の全身麻酔薬である。1804年、45歳の青洲が60歳女性の乳がん手術を全身麻酔下で成功させた事実は、西洋のモートンによるエーテル麻酔公開実験より約42年早い。
毒と医学
クラーレの歴史|矢毒が近代麻酔を生むまで
クラーレは、南米熱帯低地の先住民がアマゾン川やオリノコ川流域で矢に塗ってきた黒褐色の矢毒調製物であり、竹筒・素焼き壺・ヒョウタンに収められるほど姿も組成も一様ではありません。
毒物図鑑
マンダラトキシン|オオスズメバチだけの神経毒
オオスズメバチの毒とは、Vespa mandarinia がもつ毒液であり、1982年に前シナプス作用性神経毒として精製・命名されたマンダラトキシンを含む複合毒です。1回の攻撃で注入しうる毒量は約1.1mgとされ、キイロスズメバチの約0.4mgのおよそ3倍に達しますが、鍵になるのは量だけではありません。